本年度JAGP最初のセミナーに、現在ペン大医学部の准教授として教育、臨床、研究に携わっていらっしゃる免疫学第一人者の上林先生による「免疫学第一人者の上林拓が語る免疫の新常識とコロナワクチンのすべて」が 2月14日の午後3時から5時までの時間で行われました。このセミナーには会員、非会員合わせて95名のお申込みがあり、当日63名と多くの方々が参加されました。他州や日本からだけでなくフランスからのご参加もあり、パンデミックがなかなか収束せず、またこの不順な気候の中でのセミナー開催にオンラインが威力を発揮していることを感じさせられました。セミナーの前半は新型コロナウィルスや我々の免疫系、ワクチンのことなどについて、ワクチンを受ける前に知っておくべき基礎的な内容を語っていただきました。また後半では、それらを巡る様々な問題について寄せられた疑問、質問に対し対話形式でご回答いただきました。
セミナー前半では病原体に対し我々が生まれながら持っている自然免疫、又ワクチンの接種などで得られる獲得免疫による病原体への防御、免疫細胞や抗体によるウイルスとの戦いの基礎的な知識、いったん獲得した病原体についての情報を効果的に記憶する我々の免疫記憶システムなどについてわかりやすく説明していただきました。そして今回非常に短い時間で開発された全く新しいタイプのワクチン、即ち新型コロナウィルスの遺伝子の一部のみを我々の細胞に送りこむだけでコロナウィルスの抗原タンパク質を自分自身の細胞で生成して感染を防御することが出来る核酸ワクチンをはじめ、他の現在作られている様々なワクチンの性質や副反応、有効性なども明瞭にご説明いただきました。 さらにウイルスの変異や進化という性質、多くの人がワクチン接種を受ける事でパンデミックの終息する可能性のある集団免疫などについての説明もありました。休憩時間中に船木新会長のメッセージに加え、このセミナーのスポンサーによるコマーシャルが流されました。後半の質疑応答では多くの方々からセミナー前に寄せられていた事前質問に加え、前半の講演に対する多数の質問に対し基礎、臨床の面からわかりやすい説明がありました。ご質問が多くあり、全ての質問に答える時間がなかったものの、未回答となってしまった質問には上林先生より書面で回答していただいております。
今回のセミナーにはこれまでで最も多くの方々にご参加いただき、盛会のうちに終了することができました。2時間で免疫、コロナに関しての全てを理解することは難しいものの、信頼できる科学的知見をもとにワクチンに関する事実を知っていただくができたのでなないかと思われます。その結果、ワクチン接種の是非をメデイアやネットでの情報に惑わされず、自ら冷静に判断するための材料にしていただけるものと期待しています。
セミナー後のアンケートは現在まだ回収中でありますが、非会員の方からも参加への感謝の言葉ととともに寄付も届いております。これらのアンケートの結果などを踏まえてこれからのセミナーを企画し、皆様のニーズにお応えするとともに他の組織の方々との交流を強化していきたいと思います。今後とも皆様のご協力をよろしくお願いいたします。


